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トップ > FX 円安 > FX 円安 - 人気ブログ(Blog)検索結果詳細 (2009年1月7日 8時)
●「米国の個人消費がダウンする恐怖」(EJ第2486号)
現在、米国の金融危機は、第1フェーズの「流動性の危機」の
段階にあります。これは1997年秋の日本の金融危機によく似
ているのです。少し日本のケースを振り返ってみます。
日本の場合、バフル崩壊から7年を経て、本格的な金融危機に
陥っています。なぜ、7年後に金融危機に陥ったかというと、バ
ブル時代に安易な審査で競って貸し込んだ銀行の不動産関連融資
の焦げ付きの処理が7年経っても終わっていなかったからです。
1997年11月3日に三洋証券が会社更生法を申請したのを
皮切りに、17日には北海道拓殖銀行が当時の大蔵省から業務停
止命令を受け、24日には四大証券の一角である山一証券が自主
廃業を申請するなど、一ヵ月の間に大手金融機関が次々に破綻し
深刻な金融危機に陥ったのです。
しかし、米国の場合、日本の前例もあったので、当時の日本よ
りも明らかにすばやく対応しているのです。それにもかかわらず
信用収縮は今後も相当長く続くと予想されていますが、どうして
でそうなるのでしょうか。
その理由は、米国の場合、危機の根底に住宅価格の値下がりが
あり、それが現在も続いているからです。これまで米国の経済を
支えてきたのは、旺盛な個人消費なのです。米国経済の規模は世
界のGDPの約50兆ドルの約25%を占めているのです。
50兆ドルといえば、約5000兆円ですが、米国のGDPは
その4分の1を占めるのです。その米国のGDPに占める個人消
費の割合は実に70%に達し、住宅関連消費はその約半分を占め
るのです。とにかくとてつもない数なのです。
その住宅価格が値下がりしているので、実体経済とかけ離れて
つくられた金融資産とデリバティブの総額との差がをますます広
がっているのです。バブルを終わらせるには、この差の調整が必
要なのですが、住宅価格が依然として下がっているので、危機は
ますます拡大してしまうことになります。
一般論ですが、バブルというのは、実体経済の経済成長以上に
資産価格が膨らむことによって発生するのです。かつて日本も土
地や株の異常な値上がりが実体経済と乖離して値上がりしてバブ
ルが膨らんだのです。
そして、この資産価格の実体経済との乖離は、最終的に何らか
の調整によって解消され、バブルは消滅するのです。しかし、米
国の住宅バブルは、日本を含むこれまでのバブルとはケタ違いに
巨大であり、資本主義体制をも吹き飛ばすほどの破壊力を秘めて
いるのです。
このあたりのことをもう少し詳しく述べると、米国の住宅バブ
ルの深刻さがわかると思います。
2008年9月7日――米政府は、政府系住宅金融会社、ファ
ニイメイとフレディ・マックの2社を政府の管理下に置く処置を
とっています。事実上の国有化です。この発表に当たって、ポー
ルソン財務長官は、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
米国の経済や市場は、住宅市場の調整が終わるまで回復させる
ことはできない。ファニーメイとフレディマックは住宅市場を
回復させる上で重要な役割を担っている。
――ポールソン財務長官
―――――――――――――――――――――――――――――
ファニーメイとフレディマックの2社の持つ住宅ローンは約5
兆ドルであり、その規模は日本のGDPに匹敵するのです。米国
全体の住宅ローンの規模は約10兆ドルであるので、この2社で
その半分を引き受けていることになります。
断っておきますが、これら住宅金融2社の扱う住宅ローンはサ
ブプライム・ローンではなく、プライムローンなのです。両社は
これを小口の債券にして世界中に売っていたのです。
これら住宅金融2社の債券は住宅価格が上昇しているときは、
米国債並みの優良債券として大いに売れたのです。とくに中国や
ロシアがこの債券の大口保有者となっているのです。
しかし、住宅価格が下がって、いわゆるサブプライム問題が起
きると、この債券にデフォルトの可能性が出てきたのです。そう
すると、米国政府は、慌ててこれら2社を実質国有化してしまっ
たのです。何しろ、これら2社の大口所有者者が中国とロシアで
あり、債券を投げ売りされることを何よりも恐れたからです。
しかし、国有化することによって住宅ローンの貸し手がいなく
なってしまったのです。なぜなら、ファニーメイとフレディマッ
クの2社は、住宅ローンの有力な買い取り手であったからです。
というのは、銀行は個人などに住宅ローンを貸し付けると、そ
れをファニーメイとフレディマックの2社に持ち込んで、現金化
していたからです。したがって、これら2社が国有化されると、
住宅ローンの引き受け手がいなくなり、銀行は個人に住宅ローン
を貸し付けることができなくなります。そうすると住宅はますま
す売れなくなり、住宅価格は下落することになるのです。
それでは政府の管理下に置かれると、ファニーメイとフレディ
マックの2社は、なぜ本来の業務であるはずの住宅ローンの引き
受けができなくなってしまうのでしょうか。
それは、抱え込んだ住宅ローンを処理することに業務の重点が
置かれるからです。5兆ドル――5000億円を処理する作業に
何年かかるか、相当長期間になることは避けられないでしょう。
その間は本来業務である住宅ローンの引き受けはほとんどできな
くなると考えるのが現実的といえます。
米国の経済――というよりも世界経済を支えていたのは、米国
の個人消費だったのです。しかし、それは、借金に借金を積み重
ねる消費だったのです。たとえば、5000万円でローンを組ん
で購入した住宅が7000万円に値上がりすると、その差額であ
る2000万円分を担保とした借り入れ――リファイナンスが可
能になるのです。まさに借金に借金を積み重ねているわけです。
こんなことが長く続くはずもなく、それがいま、突然崩壊してし
まったのです。 ――[大恐慌後の世界/04]
≪画像および関連情報≫
●「流動性」とは何か
―――――――――――――――――――――――――――
流動性とは、取引高が少なくて、必要な時に思うような価格
で売れないリスク。債券でも株でも、売買がほとんどされな
い銘柄、つまり、流動性の低い銘柄は、必要な時に思うよう
に売れないことがある。どうしても売りたい場合には、時価
よりも大幅に安い値段を提示しなければならないことになり
かねない。債券の場合には満期まで持てば元本が償還される
が、株の場合には償還もないので、流動性リスクの高い銘柄
は、その分安い価格で取引されることが多い。この価格差を
流動性プレミアムという。
――オール・アバウトマネー用語辞典
―――――――――――――――――――――――――――
作者:平野 浩
更新日:2009年1月8日 4時22分
●「今回の経済危機の2つの側面」(EJ第2485号)
2008年10月1日のことです。米国において今回の金融危
機がいかに深刻であるかを示す出来事があったのです。それは、
米政府が陸軍の実働部隊を米国全土に駐留させ始めたことです。
日本人にとっては、自国の軍隊を自国に駐留させることが何で
問題なのかと思うでしょうが、これは米国にとって南北戦争以来
の出来事であり、次の法律で禁じられていることなのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
Posse Comitatus Act
―――――――――――――――――――――――――――――
この法律は、軍(州兵以外の連邦政府軍)の実働部隊を米国本土
に配備することを禁ずるものです。それを今回「テロ対策」とい
う名目で、法律の例外事項にしたのです。しかし、それは表面上
の理由であり、本当の目的は国民による暴動を阻止するためだっ
たのです。
実は米国では、何度も暴動が起きているのです。1929年の
世界大恐慌時にも大きな暴動が起こっています。それより規模は
小さいですが、最近では2005年にハリケーン「カトリーナ」
がニューオーリンズ市を直撃したときにも起きています。
このときは、市内で略奪や暴動が起きていることが報道された
ので、ホワイトハウスは「有事」と認定し、州知事の権限を剥奪
して軍を派遣しているのです。そのさい、派遣された軍と貧民層
の市民が衝突して、多くの市民の怒りを買っています。
今回、全米に陸軍の実働部隊を配置したのは、もし、大恐慌に
よって暴動が起きるとすれば、それは全国規模に拡大すると米政
府が考えたからです。しかし、世界一の経済大国である米国が国
民の暴動を恐れて軍隊を配備する――事態はここまで深刻化して
いるのです。
100年に一度の経済危機といいますが、今回の危機には次の
2つの側面があることを知っておく必要があります。これは、金
融政策論の世界的権威であるアラン・ブラインダープリンストン
大学教授がいっていることです。ブラインダー教授は、元FRB
副議長の経験があります。
―――――――――――――――――――――――――――――
1.金融的側面
2.経済的側面
―――――――――――――――――――――――――――――
第1の側面は「金融的側面」です。
今回起こっている金融混乱は、今まで例をみないものであり、
したがって、これを解決する本当のノウハウが誰もわからない状
況にある――これが深刻な点なのです。そのため、FRBは堤防
のあちこちに穴があくたびにそれを塞ぐ方法を模索していろいろ
な方策を打ち出しているが、確信をもって政策を打ち出している
わけではない――このように金融的側面に対する対応策は依然と
して霧の中にあるとブラインダー教授はいうのです。
第2の側面は「経済的側面」です。
ここで「経済的」とは実体経済のことです。米国は、2007
年12月以来、深刻なリセッション(景気後退)に陥っているが
2008年9月までは弱々しい景気が持続していたものの、9月
以降急激な収縮が始ったとしています。
しかし、このリセッションに対応する処方は既にわかっている
ことであり、政府はまず金融緩和策を講じ、早急にやるべき対策
がとられています。続いて、オバマ政権によって減税、さらに財
政出動という手が適切に打たれることになる――ブラインダー教
授はこういっています。
ブラインダー教授は、バーナンキFRB議長のこれまでの仕事
ぶりについて、次のように評価しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
バーナンキFRB議長はよい仕事をしてきたと思う。ただ、関
係の薄かったポールソン財務長官と組むというハンディを負っ
てきた。TARP(7000億ドルの不良資産買い取り計画)
はうまくいっていない。バーナンキ議長は、まさに海図のない
水域を航海しているようなものだ。もちろん、彼は非常に積極
的かつ創造的に問題に対処していることは高く評価したい。彼
は外面的な冷静さを失わない。――アラン・ブラインダー教授
「週刊東洋経済」新春合併特大号より
―――――――――――――――――――――――――――――
ブラインダー教授のいう今回の危機の「金融的」側面――金融
危機には次の3つのフェーズがあります。現在は、どのフェーズ
にあるのでしょうか。
―――――――――――――――――――――――――――――
1.流動性の危機
2.資 本の危機
3.本格的な恐慌
―――――――――――――――――――――――――――――
現在、米国は第1のフェーズにあります。危機はまだ入口なの
です。クレジット・クランチ(信用収縮)によって金融機関同士
が疑心暗鬼になっており、インターバンク市場が機能不全になっ
ているのです。金融機関は、いわゆる「カウンターパーティリス
ク」に陥っているのです。なお、カウンターパーティーリスクの
詳細については、既に説明しております。次のURLをクリック
してください。
―――――――――――――――――――――――――――――
http://electronic-journal.seesaa.net/article/104763449.html
―――――――――――――――――――――――――――――
「流動性の危機」に関しては、1997年秋の日本の金融危機
によく似ています。バーナンキ議長は、もちろん日本のケースに
ついてよく調べています。彼は恐慌の研究家なのです。
しかも、今回は米国だけでなく、世界中で金融危機が進行して
いるのです。したがって、本当の解決策は米国一国レベルでは解
決できないのです。 ――[大恐慌後の世界/03]
≪画像および関連情報≫
●アラン・ブラインダーについてのプログより/本石町日記
―――――――――――――――――――――――――――
アラン・ブラインダーが警告した「自分の尾を追う犬」とな
った中央銀行の対話の危険性は、基本的には中央銀行が市場
を尊重しすぎてその近視眼性を取り込んだ場合を指している
と思われる。日銀の場合、自ら予断を与え、予断を与えられ
た市場との間で「尾を追う犬」化しているように見受けられ
ることで、これは何というか、ブラインダーの想像を超えた
市場との対話の失敗であるような気がする。願わくば、解除
ができ、景気が良くなり、物価も上がり、預金金利がタンス
預金を引きつけるほど上昇するような利上げが実現して欲し
い(リスクマネーとして株や不動産、外貨などに流れてもO
K)。そうでないと、振り返ってみた場合に、要らぬ予断を
与えたに過ぎなくなるからだ。
http://hongokucho.exblog.jp/3657444
―――――――――――――――――――――――――――
作者:平野 浩
更新日:2009年1月7日 4時17分
●「福田首相が辞任した本当の理由」(EJ第2484号)
「あなたとは違うんです」――この迷セリフを残して唐突に辞
めた福田前首相の辞任理由について、国際未来科学研究所代表の
浜田和幸氏が自著で意外な事実を明かしています。
2008年9月といえば、世界各地で株価が、まるでジェット
コースターのように上下していた頃です。1日に株価が1000
円も上がったり下がったりする――尋常ではない状況だったので
す。その2008年9月1日に福田首相が突然辞任してしまった
のです。いったい何があったのでしょうか。
この福田首相の突然の辞任について浜田氏は次のように述べて
いるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
思い出されるのが、2008年9月1日の、福田康夫首相の突
然の辞任である。「あなたたちとは違うんです」との名(迷)
セリフを残して記者会見場を後にした「のび太総理」だが、じ
つは、アメリカ政府から、しつこく「ドルを融通してくれ」と
の圧力を受けていたようなのだ。しかも、それは半端な金額で
はなかった。じつに、日本が保有する全外貨準備高にあたる1
兆ドル(約100兆円)の提供を求められたという。これは、
アメリカ政府が今回の金融パニックを封じ込める目的で投入を
決めた7000億ドルを上回る金額である。要は、自分たちの
失敗の尻拭いを日本に押し付けようとした、アメリカのムシの
よすぎる話に福田前首相はキレてしまったというのである。
――浜田和幸著/光文社刊
『「大恐慌」以後の世界/多極化かアメリカの復活か』
―――――――――――――――――――――――――――――
既に述べたが、日本の外貨準備高は約100兆円あります。こ
のお金は、小泉政権の時代に異常に高く積み上げられ、ドルが下
落したとき、円売りドル買い介入を行う資金として使い、その買
ったドルで米国債を買うという、まるで米国に尽くす下僕のよう
なことを日本は今までやってきたのです。したがって、この外貨
準備高は本来は、非常事態において日本を救うための資金である
のに米国を救うための資金の様相を呈してきたのです。
米ブッシュ政権は、2007年の夏の時点で現在のような状況
になることを察知し、ポールソン財務長官やチェイニー副大統領
が対応策を練り始めていたのです。
そのとき、ドルを十分貯め込んでいる中国と日本から資金協力
を強制するという方針が決められ、福田首相に対して何回も何回
も1兆ドル(100兆円)の提供を要請していたのです。
一方中国はどうかというと、日本と違ってきわめて外交に長け
ているので、外貨を利用して米国の投資銀行や住宅公社に資本注
入を積極的に行い、差し押さえられた不動産物件のかなりの債券
は中国が保有しているのです。
同じ米国に協力する場合でも、中国の場合は自らイニシアティ
ブをとって積極的に先手を打って動いたのに対し、日本は完全に
受身であり、度重なるブッシュ政権の圧力に屈した金融庁の金融
市場戦略チームは、対米支援の目玉としての「100兆円提供」
を決定する寸前まで行ったのです。
福田前首相はこれを止めたのです。浜田和幸氏はこの間の事情
を次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
いくら同盟国とはいえ、あまりに無茶な要求。いくらお人よし
の日本とはいえ、そんな理不尽な要求は飲めない」。そこは頑
固な福田氏。あの手この手で迫ってくるブッシュの手先に対し
て「ノー」を言い続けた。そしてついに堪忍袋の緒が切れ、ア
メリカに対して「そんなにしつこく言うなら、辞める」となっ
たのが、ことの顛末だという。「総理の職を投げ出した」と批
判が沸き起こったが、いっさい言い訳をしなかった福田前総理
は、じつは意外なサムライだったのかもしれない。
――浜田和幸著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
それでは麻生首相はどうするのでしょうか。もし、このことが
本当なら、福田氏は麻生氏にこのことを言い含めたはずです。ま
さか麻生首相が100兆円を提供するようなことはないと思うが
国民としてはそれを慎重に監視する必要があります。
ここで、昨日のEJで言及した米国のデフォルト宣言のタイミ
ングの問題について述べることにします。デフォルト宣言なんて
あっては困りますが、既出の原田武夫氏は、オバマ次期大統領に
とって、最も「傷」が浅くて済むタイミングは、1月20日の大
統領就任直後であり、最悪のタイミングは財政赤字をそのままに
して、景気浮揚政策をとる場合であるといっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
なぜならば、そうすることでオバマ新政権はそれまでの財政赤
字の累積に対してはいわば免罪符を得るなか、「CHANGE
(変革)」の標語にふさわしい刷新策を続々と打ち出すことが
可能になるからである。これに対し、最悪のパターンとなるの
が、財政赤字の問題にはいったん目をつむり、とりあえずは景
気浮揚策を打ち出すものの、結果的には財政負担の重圧に耐え
られず、遅くとも6月までに「デフォルト宣言」を行うという
もの。この場合、オバマ新政権に対する期待が一気に失望へと
変わるため、市場では米国債、そして米ドルが投げ売りになる
との観測がある。「その場合、1ドル=50円台も目指す可能
性がある」(国内投資家筋)との現実主義的な見方も聞かれる
ようになっている。 ――原田武夫氏
―――――――――――――――――――――――――――――
EJ第2475号で述べたように、竹中平蔵氏は、2008年
4月に「日本郵政はアメリカに出資せよ」といっています。時期
的にも米国が福田首相に圧力をかけた同じ時期にこういうことを
いっているのは、明らかに米国筋の要請に沿ったものと考えられ
るのです。一民間人の竹中氏がこういう発言をすること自体が異
常であるといえます。 ―――[大恐慌後の世界/02]
≪画像および関連情報≫
●関連情報/福田首相の辞任と100兆円
―――――――――――――――――――――――――――
福田首相は辞任の直前まで続投する気だった。辞任を決めた
のは、金融庁が渡辺案「米政府が必要とすれば日本の外貨準
備を公社救済のために米国に提供する」との報告書をまとめ
上げ、提出する直前だった。もし、福田首相が9月1日に辞
任しなければ、9月14日に破綻したリーマンブラザースの
救済に日本の1兆ドルの外貨準備金が使われていたかも知れ
ない。
http://4ki4.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-edd8.html
―――――――――――――――――――――――――――
作者:平野 浩
更新日:2009年1月6日 4時19分
●「オバマがデフォルト宣言をする日」(EJ第2483号)
本号は2009年の最初のEJです。読者の皆様、今年もよろ
しくお願いいたします。
2009年がスタートして、誰もが気になるのは米国はどうな
るのか、ドルはどうなるのか、そして日本は大丈夫なのかという
ことです。つまり、大恐慌の後の世界はどうなっていくのかとい
うことです。
根拠は不確かですが、昨年の暮れからとんでもない情報がネッ
トを駆け巡っているのです。それは、昨年の12月2日付の「日
刊ゲンダイ」の「原田武夫/国際政治ナナメ読み」に掲載された
次のタイトルの情報です。
―――――――――――――――――――――――――――――
「オバマがデフォルト宣言をする日」
―――――――――――――――――――――――――――――
いくら「CHANGE/変革」を掲げても、先立つものがなけ
れば何もできないのです。何しろ米政府の財政赤字は昨年の夏以
前で、邦貨換算で6000兆円――それに加えて、金融機関、自
動車、不動産を救済する資金を積み上げていくと、もうどうにも
ならない状況になっているのです。そこで、オバマ次期大統領が
最初にやることは「国家債務デフォルト(不履行)宣言」ではな
いかといわれているのです。
そんな馬鹿なことがあるか――という人は多いでしょう。しか
し、市場では少なくとも今年の夏頃までにデフォルト宣言が行わ
れるとの観測が既に出ているのです。もちろん、テレビや新聞で
は一切伝えませんが、ネットの世界ではこのニュースはそれほど
大きなサプライズではないのです。
それでは、このニュースを流した原田武夫氏とはどういう人物
なのでしょうか。原田武夫氏のブログから、原田氏のプロフィー
ルを紹介します。
―――――――――――――――――――――――――――――
1971年香川県・高松市生まれ。キャリアの外交官として、
12年間勤務し、対北朝鮮外交の最前線に携わった後、自主退
職。独立系シンクタンク「原田武夫国際戦略情報研究所」の代
表として、活躍中。 http://blog.goo.ne.jp/shiome/
―――――――――――――――――――――――――――――
もし、米国がデフォルト宣言をするとどうなるでしょうか。原
田武夫氏は、これについて次のように述べているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
その時、当然のことながら米国的なるもの、米国債、そして、
「無担保・無金利の米国債」である米ドルは大暴落する。その
結果、強烈なるドル安・円高という時代がついにやってくる。
その時、世界中で「覇権国・米国の終わり」などと喧伝される
ことだろう。 ――原田武夫氏
―――――――――――――――――――――――――――――
話はこれだけではないのです。原田氏は、これが米国の仕掛け
た罠であるといっているのです。それは次のような驚くべき戦略
なのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
米国・メキシコ・カナダによる地域統合
―――――――――――――――――――――――――――――
どういうことかというと、ドルをデフォルト宣言すると同時に
欧州の「ユーロ」に対抗して米国・メキシコ・カナダによる新通
貨「アメロ」を発行するというのです。メキシコを抱え込んでい
るので、「アメロ」は米ドルよりもはるかに安いものになるはず
です。そうすると、恒久的に円高が続くことになるのです。
どのような状況でオバマは「デフォルト宣言」を行うのかにつ
いても既に予想している人がいます。ある日突然ニクソンショッ
クのようなわけにはいかないでしょう。
まず、意図的に株価を暴落させて国内を不安定させる。そして
インドのムンバイ・テロのようなことを発生させ、武力を使って
テロを強引に制圧する。数人を残してあとは全滅というシナリオ
もあり得る。そこで、経済的にも政治的にも大変な事態に陥って
いることを世界に表明したうえで、やむなく「デフォルト宣言」
をする――こういう筋書きです。
そんなことが簡単に起こっては困りますが、米国債の価値が暴
落して壊滅的な影響を受けるのが、中国と日本です。中でも心配
なのが日本のメガバンクと生保業界です。
なぜなら、メガバンクと生保業界はそれぞれ最大で10兆円規
模の米国債を所有していると推測できるからです。実際にどの程
度の米国債を持っているかは不明ですが、おおよその見当で10
兆円は持っていると思われます。これに対して損保業界はせいぜ
い3兆円~4兆円程度であり、生保業界の半分以下です。
もし米国債が紙くずになると、当然生保業界は大ダメージを受
けることになる一方、損保業界のダメージは生保のそれよりは軽
くて済むはずであり、このギャップが損保会社による生保業界の
再編もありうると、前出の原田氏は予測するのです。「損保が生
保を食う」というこれまでの想定外の事態も起こる可能性がある
というのです。
このように、2009年の世界は今まで通りというわけにはい
かないようです。そこで本日より、次のテーマでEJの記事を書
いていこうと考えています。
―――――――――――――――――――――――――――――
大恐慌後の世界はどのようになっていくか
- 日本はそれにどう対応すべきか -
―――――――――――――――――――――――――――――
ネットの世界やマーケットでは、米ドルのデフォルト宣言は既
定のものになっていて、それがいつ、どのようなかたちで行われ
るかに関心が移っているといわれます。
何が起こるか予測のつかない2009年――最新の情報を分析
し、確度の高い情報を明日からお届けしたいと考えています。
―――[大恐慌後の世界/01]
≪画像および関連情報≫
●南米エクアドルのデフォルト宣言について
―――――――――――――――――――――――――――
エクアドルは、原油相場の急落で石油収入が減少し、資金繰
りが悪化。先月15日には3060万ドルの返済を延期し、
今月15日に支払期限が迫っていた。今回、デフォルトを宣
言したことで、金融市場での資金調達や、国際機関からの新
規借り入れは極めて困難になった。資金繰り難から財政支出
の削減を迫られ、政情不安に発展する可能性も出てきた。
http://ameblo.jp/dol-souraku/entry-10177505973.html
―――――――――――――――――――――――――――
作者:平野 浩
更新日:2009年1月5日 4時17分
●「間違ったデフレ政策による円安バブル」(EJ第2482号)
今日は2008年の大晦日です。今まで大晦日までEJを書い
たことはありません。しかし、今年はやります。これで、EJの
お休みは土日祝日のほか正月の3日間のみとなります。新聞には
休刊日がありますが、EJには休みはないのです。
今から考えると、間違いのすべては、2002年の秋からはじ
まっているのです。2002年の秋とは何でしょうか。繰り返し
になりますが、2002年9月から小泉政権で竹中平蔵氏が経済
財政政策担当に任命されていることです。日本はこのときから、
日本らしさというものが失われていくことになります。
その当時日本経済はデフレの状態にあったのです。竹中経財相
はデフレ脱却のために日銀の協力を強く求めます。そして竹中経
財相を擁する小泉政権は「デフレ脱却」を目指して強引な円安誘
導政策を実施したのです。それは、日本のためではなく、米国の
要望に沿ったとしか思えないのです。そして、この政策が円安バ
ブルを生み出したのです。2002年の秋に当時の小泉首相と竹
中経財相は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
首相の小泉純一郎は2002年10月18日、臨時国会の所信
表明演説で『デフレ克服に向け、政府・日本銀行は一体となっ
て総合的に取り組みます』と述べた。その少し前の同年10月
11日、経済財政諮問会議では金融・経済財政担当相をつとめ
る竹中平蔵がこう話している。『デフレ克服に向け、政府・日
銀は一体となって、強力かつ総合的な取り組みを実施しなけれ
ばならない』。
――榊原英資著、『強い円は日本の国益』/東洋経済新報社
―――――――――――――――――――――――――――――
2002年10月というと、マクロ面ではありますが、日本経
済は景気回復の局面に入っていたのです。その証拠に2003年
の実質GDP成長率は1.4 %、2004年には2.7 %にまで
達しているのです。
そういう戦後最長の景気が続く中で、日銀は政府の圧力に負け
て2006年までゼロ金利を続けたのですが、これは今考えると
信じ難いことであるといえます。
榊原氏によると、この時点でのデフレは、必ずしも需要が過少
だったために起こったものではなく、供給側の要望によって起こ
されたものであり、過剰な対策は不要だというのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
いいデフレ、悪いデフレという言い方は必ずしも適切ではない
かもしれませんが、この時期のデフレはどちらかというといい
デフレで、「デフレ脱却」「デフレ脱却」と騒ぐようなもので
はなかったのです。ただ、このデフレに対するネガティブな認
識は、小泉・竹中だけではなくかなり多くのエコノミストやジ
ャーナリスト達に共通していました。(中略)しかし、21世
紀初頭に起こったデフレは明らかに今までとは異なったもので
した。このデフレはいわば構造的デフレとも言うべきもので、
中国、インドあるいはベトナム等が世界経済に統合されること
によって生産プロセスが変わり、ハイテク製品等の価格が下落
することによって起こつたものです。
――榊原英資著、『強い円は日本の国益』/東洋経済新報社
―――――――――――――――――――――――――――――
それなら、なぜ物価は下落したのでしょうか。
価格が下がったのは、榊原氏の指摘の通り、インドあるいはベ
トナムなどが世界経済に統合されることによって国内市場におい
て、ハイテク製品――とくにテレビや携帯電話などの価格が大幅
に下がり、これが物価下落に拍車をかけたのです。
それからもうひとつ、この年末にきて大きな社会問題になって
いる雇用構造の変化が原因で、平均賃金が物価拡大にもかかわら
ず下落を続けたのです。雇用構造の変化とは、いうまでもないこ
とながら正規雇用の減少と非正規雇用の拡大のことです。景気拡
大でも賃金が下落したので、企業のコスト増による物価上昇圧力
がかからなかったのです。
よく誤解されることですが、「デフレ=不況」という認識を持
つ人がいます。三菱UFJ証券・チーフエコノミストである水野
和夫氏は、「デフレ=不況」の考え方は誤りであり、デフレは好
不況に関係がないといっています。そして、榊原氏のいう「構造
デフレ」について、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
しかし、デフレと好不況は直接関係ない。市場統合によって生
ずるデフレは『構造』であり、好不況はあくまで4年ごとに繰
り返す『循環』である。デフレから脱却すれば景気が持続的に
回復するとか、景気を回復させれば、デフレから脱却できると
いった考え方は、構造と循環を混同した議論である。
――榊原英資著、『強い円は日本の国益』/東洋経済新報社
―――――――――――――――――――――――――――――
長過ぎたゼロ金利の維持が日本からの資本の流出を加速し、円
キャリートレードを生み、さらにそれに平行して数次にわたる巨
額の円高介入をやった結果、円安バブルをつくり出したのです。
その円安バブルが今回のサブプライム問題に端を発する未曽有
の金融危機によってはじけて円高になったのです。しかし、これ
は円高というよりも、本来あるべき円の価値に戻ったというべき
です。したがって、この円高はこのまま進行すると、70円台に
なる可能性もあるといわれます。円高は日本にとって悪いことで
はありませんが、輸出立国を目指してきた日本にとっては痛手で
す。これからどうするべきでしょうか。
円高・内需拡大策をテーマとして、40回にわたって書いてき
ました。しかし、テーマが大きいので、まだすべてを書き切れて
おりません。そこで、ここまでを前編とし、新年より後編(テー
マは変わりますが)を書いていきたいと思います。ここまでのご
愛読を感謝します。読者の皆様、良いお年をお迎えください。新
年は5日からはじめます。 ―――[円高・内需拡大策/40]
≪画像および関連情報≫
●構造デフレの世紀/榊原英資
―――――――――――――――――――――――――――
日本は「失われた10年」と言われる難しい時期を経験して
きた。少なくとも、結果的には財政・金融政策を全開にし、
財政赤字はG7諸国で最も高いレベルまで累増し、金利はゼ
ロにまで引き下げられた。しかし、相も変わらず議論はさら
なる財政赤字の拡大、金融の追加的量的緩和をめぐって戦わ
されるだけで、この10余年の経験、状況の変化を勘案した
ものになっているとはとても思えないのである。「失われた
10年」の最大の失敗はデフレが構造的であり、政策によっ
て逆転できないという冷厳な現実を認識できなかったところ
にあるのではないだろうか。
http://www.utobrain.co.jp/review/2003/081801/
―――――――――――――――――――――――――――
作者:平野 浩
更新日:2008年12月31日 4時15分
●「2007年夏まで円安であった理由」(EJ第2481号)
テイラー対溝口の連携による巨額の為替介入――それでも日本
はデフレから脱却できていないのです。それはおそらく日銀によ
る量的緩和政策が中途半端なものに終わったことが原因ではない
かと思います。何事もそうですが、迷いながらやったことは結果
が良くないのです。
というのは、日銀派エコノミストといわれる小宮隆太郎氏など
が、次の理由でテイラーの理論を疑問視していたからです。
―――――――――――――――――――――――――――――
日本のデフレは構造的なものであって金融的なものではなく、
したがって、金融政策でカタのつく代物ではない
――日銀派エコノミスト
―――――――――――――――――――――――――――――
しかし、こういう日銀派の主張は、間違っていたのではないか
と思われます。それは、テイラーの回顧録を読めば日本の「失わ
れた10年」が金融的なものであることがわかるからです。
かつての昭和恐慌期において、高橋是清蔵相は金本位制離脱後
に超金融緩和政策をとって、日本を長期不況から脱却させている
のです。日銀は歴史に学ばないのでしょうか。
ここで考えてみるべきことがあります。2004年3月16日
から現在まで、日本は為替介入をやっていないのです。しかし、
それにもかかわらず、2007年夏まで円安だったのです。その
謎を解明する必要があります。
円高になったとき、円を売ってドルを買い入れれば、円は安く
なります。しかし、一定の期間を経過すると、当然レートの反転
が起こります。溝口財務官はこの反転を恐れ、巨額の介入を行う
ことによって、日本の介入警戒感を持続させて反転を防ごうとし
たのですが、短期的にはともかく、あまり効果を上げていないの
です。しかし、米国としては助かったはずです。米国は、日本に
もっと感謝すべきです。
ゼロ金利の継続と介入警戒感の組み合わせは、本来の目的とは
異なり、民間の外債投資に火をつけたのです。それは、数字でみ
るとはっきりしています。2004年の外債買越額高の17兆円
が、2005年には22兆円になっているからです。
日本はゼロ金利が継続されており、日本の債権の金利は非常に
低く、日本で資金を調達し、高利の外債に投資することはきわめ
て魅力的な投資なのです。しかし、円安で資金を調達して高利の
外債で資金を運用しても、それを円に戻すときレートが反転する
と元の木阿弥になります。
ところが、溝口財務官の巨額介入の印象は強く、日本はもし急
速な円高になると、必ず介入をして円安に誘導してくれることを
期待したからこそ、外債投資――円キャリートレードが活性化し
たといえるのです。
しかし、2006年にゼロ金利が解除されると、さすがに生保
会社や銀行は外債の売り越しに転じたのです。ちょうどそのとき
FRBが政策金利の引き上げに向かっていたのですが、こういう
場合、為替ヘッジのコストが上昇してしまうのです。
為替ヘッジというのは、為替の動きが本来の値段に影響を与え
ないようにする手段のことです。為替ヘッジをするには、相当の
コストがかかりますが、これをヘッジコストといいます。仮に、
ヘッジコストを5%とすると、ドル建てで商品が20%値上がり
すると、その間の為替の動きにかかわらず「20-5=15%」
の利益になる計算となります。値動きがなかった場合はヘッジコ
スト分5%がファンドの価額の値下がりになります。
為替ヘッジがないと、いうまでもないことですが、為替変動の
影響を受けることになります。ドル建てで商品が20%値上がり
しても、その間に30%の円高になれば、円換算ではマイナスに
なってしまいます。逆に30%のドル高に動けば円換算で50%
以上のプラスになるのです。
こういう状況を救ったのが個人投資家だったのです。毎月分配
型の投資信託が大きく伸びており、個人投資家が外債投資に傾斜
して行った様子が読み取れます。個人投資家の場合、円を外債に
転換して、ヘッジなしで外債を買うケースがほとんどなのです。
為替ヘッジをする金融機関と個人投資家の違いについて、榊原
英資氏は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
銀行や生保は、外債を買う場合、外で資金を調達したり、為替
をヘッジしたりすることが多いので、外債を大きく買い越した
時もあまり大きな円安要因にはなりません。また、逆に売り越
した時もレートを円高に強く振ることもないのです。しかし、
個人投資家の場合、円を外貨に転換して、しかも、ヘッジなし
で外債を写っケースがほとんどなので、外債買い越しは円安に
直結します。
――榊原英資著、『強い円は日本の国益』/東洋経済新報社
―――――――――――――――――――――――――――――
2006年に日本全体の外債買い越し額が前年の22兆円から
7兆3000億円に急減しているにもかかわらず、為替レートが
円安に振れたのは、個人投資家のマネーの流出が加速していたか
らなのです。また、個人投資家は外債投資の主役になっただけで
はなく、外国株の取得も活発に行ったのです。個人投資家の外国
株買い越し額は、2005年に2兆1000億円、2006年は
3兆5000億円にまで拡大しています。
この状況は、2007年の夏まで続いたのです。2007年7
月時点の円・ドルレートは「1ドル=120円」だったのです。
しかし、8月に入ると、サブプライム問題が表面化し、円・ドル
レートは円高に向かっていったのです。
円・ドルレートが「1ドル=100円」を切る現在でも、個人
投資家の外国証券への投資意欲は高く、個人のドル買いは大量に
入っているのです。現時点で円高はどこまで進むのか予測が困難
ですが、実質実効為替レートで見ると、まだまだ円安であるので
さらに進むと考えられます。―――[円高・内需拡大策/39]
≪画像および関連情報≫
●「実質実効為替レート」とは何か
―――――――――――――――――――――――――――
日本の主要な貿易相手国の通貨に対する円の総合的価値を示
す指標である。為替が変動相場制に移行した後の73年3月
を100とし、数値が大きくなれば「円高」を、数値が小さ
くなれば、「円安」を示す。米ドルやユーロ、中国・人民元
など主要15通貨に対する為替レートを貿易額に応じて加重
平均し、物価上昇率も加味して算出されるため、円・ドルな
ど単純な2国間通貨の相場よりも円の実力を正確に反映して
いるとされる。特に日本の輸出割合が対米国で下がる一方、
対中国などで大きく上昇した03年以降は、円の実勢価値を
表す指標として注目されている。
―― 毎日新聞 2008年3月5日 東京朝刊
―――――――――――――――――――――――――――
作者:平野 浩
更新日:2008年12月30日 4時16分
●「テイラー財務次官と溝口財務官の連携」(EJ第2480号)
2003年~2004年にかけての日本による円高阻止のため
の大量介入――円を売ってドルを買うのですが、そうして取得し
たドルで米国債を購入するのです。当時の米国はドル安になって
いたので、米国にとっては二重のメリットがあったのです。
この介入は、2003年5月から始まり、2004年3月17
日まで続くのです。その介入総額は実に35兆円にも達したので
す。1995年に1ドル80円を突破した円高のとき、当時の榊
原英資財務官が介入を行いましたが、1995年の一年間で6兆
円を下回る程度であることを知ると、約11ヶ月で35兆円とい
う介入額がいかに異常であったかがわかると思います。
この異常な円高介入を行ったときの日米の財務官は、次の2人
であったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
溝口善兵衛財務官 VS ジョン・テイラー財務次官
―――――――――――――――――――――――――――――
同じ財務官でも榊原英資氏といえば「ミスターエン」として有
名ですが、溝口善兵衛氏が「ミスタードル」といわれていること
を知る人は少ないでしょう。しかし、彼は史上例を見ないほど巨
額の円高介入をやった財務官なのです。
溝口財務官のカウンターパートがジョン・テイラー米財務次官
です。溝口財務官とテイラー財務次官――2人の間にはいろいろ
なやりとりがあったのです。
このテイラー財務次官――ただの官僚ではなく、「テイラー・
ルール」なる理論で知られる実務のわかる経済学者なのです。彼
は、生粋のマネタリストです。マネタリストというのは、経済活
動において貨幣の重要性を強調する経済学者のことです。
マネタリストの集団を「マネタリズム」というのですが、マネ
タリズムは、アメリカの経済学者であるM・フリードマンを統帥
者として現在では多くの支持者を得つつあることはこれまでに述
べた通りです。
テイラー財務次官は、日本の「失われた10年」のデフレ脱却
策に対する日銀のやり方に疑問を持っていて、いろいろなアドバ
イスをしているのです。
この模様は、テイラー氏の回顧録に非常に詳しく書かれていま
す。この回顧録は2007年に日本版が発刊されていますので、
ご紹介しておきます。
―――――――――――――――――――――――――――――
ジョン・B・テイラー著/中谷和男訳
『テロマネーを封鎖せよ/米国の国際金融戦略の内幕を描く』
日経BP社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
この本の原題は「グローバル金融の戦士たち」といい、本の内
容はこちらの方が合っていると思います。テイラー氏はこの本の
中で、日本のデフレ脱却策として日銀にアドバイスし、次の2つ
の政策が行われたことを明らかにしています。
―――――――――――――――――――――――――――――
1.量的緩和政策実施
2.大規模な為替介入
―――――――――――――――――――――――――――――
金融政策というのは、ほとんどは金利――短期金利を目標にし
て行われるのです。中央銀行が短期金利を上げたり、下げたりし
て金融政策を行うのです。したがって、この金利のことを政策金
利といっています。
しかし、ときにはマネーサプライを目標して行われることがあ
るのです。例えば、1970年の終わりから1980年のはじめ
にかけて、FRBが行ったインフレ撲滅策がそれです。
インフレを撲滅させるには、マネーサプライの伸びを抑制して
金利を上げるのです。そうすればインフレ率は低下します。デフ
レの場合は理論上はその逆になります。マネーサプライの伸びを
促進し、金利を下げるのです。これが量的緩和政策です。
しかし、インフレ撲滅策としての実施例はあるのですが、デフ
レのケースはそれまで行われたことはないのです。それにインフ
レ抑制の場合と違い、金利がゼロ以下にならない制約があるため
効果発揮への期待が疑問視されていたのです。
そういうこともあって、テイラー財務次官としては日銀にそれ
を実施させ、日本のデフレを何とか克服させたかったものと思わ
れるのです。しかし、日銀内部には量的緩和政策に反対する者も
多くいて、その実施が中途半端になってしまったのです。
それに対して、テイラー財務次官の打ち出したもうひとつの政
策である「大規模な為替介入」については、ほぼテイラー氏の考
えた通りに実施されたのです。それは溝口財務官がテイラー次官
と綿密な打ち合わせのもとに為替の介入を行ったからです。何し
ろ、溝口財務官は、介入の規模やタイミング、出口政策にいたる
まで、テイラー次官のアドバイスを受けており、溝口財務官の方
も電子メールを使って細かな報告をテイラー次官に上げていたと
いうのです。そういう意味では、まさに主権在米経済そのもので
あったといえます。
テイラーのアドバイスのもとに溝口財務官の行ったドル買い円
売り介入は、「非不胎化介入」といわれるものなのです。普通は
為替介入が行われて円が市場に放出されると、その都度日銀は同
額の売りオペを行って円資金を市場から吸収してしまうのです。
これを「不胎化介入」というのです。
「非不胎化介入」の狙いは、市場に放出した金をそのままにし
ておくことによって、マネーサプライが増加し、デフレ脱却に効
果をもたらす金融政策なのです。
しかし、このような巨大な為替介入をいつまでも続けることは
できず、2004年に入ると日米ともに出口戦略を模索しはじめ
るのです。そして、3月5日に日本は112億ドルの巨額介入を
行って以来現在まで、日本の為替介入はまったく行われていない
のです。 ―――――――[円高・内需拡大策/38]
≪画像および関連情報≫
●「売りオペ」と「買いオペ」について
―――――――――――――――――――――――――――
日銀が保有する公債その他の証券や手形類を一般市場で売却
して市中の通貨の回収を図る操作。金利上昇の効果を持つ中
央銀行が保有する公債その他証券や手形類を一般市場(市中
銀行)で売却して通貨の回収を図る操作。金利上昇の効果を
もつことから、金融を引き締めるときに行う。これに対して
日銀が市中銀行から債券を買い入れて資金を放出し、金融緩
和などの通貨調整をすることを買いオペという。
―――――――――――――――――――――――――――
作者:平野 浩
更新日:2008年12月29日 4時14分
●「巨額のドル買い介入の真の目的」(EJ第2479号)
「あまりにも脆い!」――日本企業で“最強”を誇るトヨタ自
動車が戦後初の営業赤字に転落するというニュースを聞いたとき
の率直な感想です。
「円高が1円進むとトヨタ自動車の営業利益は年350億円減
少する」とよくいわれます。トヨタ自動車の2007年3月期の
営業利益は連結ベースで次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――
トヨタの営業利益/2兆2386億円
―――――――――――――――――――――――――――――
2007年7月に比べると、2008年3月までには実に22
円の円高が進んでいるのです。そうすると、1円で350億円で
あるから、22円なら7700億円――2兆2386億円の営業
利益の34%減少したことになります。
ところで、同じ時期のトヨタ自動車の株価はどうかというと、
7780円から5200円まで下落しています。その下落率33
%、奇しくも営業利益の減少と同じ率であることがわかります。
これによって、次のことがいえるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
為替レートが株価を決める
―――――――――――――――――――――――――――――
添付ファイルは、「2006年1月=1」として、為替レート
と株価の連動を見たものですが、株価上昇は明らかに為替レート
と相関していることがわかります。
それは、欧米諸国がこの10月初めに緊急利下げを行い、日本
との金利差が縮小、もしくは逆転したことが原因です。当面イン
フレ懸念が遠のいているので、近い将来利下げはなく、今後円安
方向に動く可能性は少ないと考えられます。
既に述べたように、日本の金利が海外に比べて低いことが原因
となって、投機が投機を生むような円キャリー取引が流行するこ
とになったのです。それは長期にわたって日本がゼロ金利と量的
緩和を続けたことにあります。
これについては、日本の政策当局も認めており、日本銀行は、
2008年1月に発表した「金融市場レポート――2007年後
半の動き」において、次の趣旨のことを書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――
日本と海外の短期金利差と円レートの変化率とのあいだには、
07年前半には正の相関があった。これは、円キャリーが円安
の原因になっていたことを示唆する。しかし、07年後半には
相関がマイナスに転じた。これは、巻き戻しが生じたことを示
す。このため、円が増価する一方で、ニュージーランド・ドル
や豪ドルが減価した。11~12月には、円とスイスフランが
増価する一方で、豪ドル、英ポンド、加ドルが減価した。日本
の個人投資家による投資信託を通じる対外証券投資は続いてい
るが、増加率は大きく低下した。FX取引も8月以降半減し、
円高に寄与した。 ――野口悠紀雄著
『円安バブル崩壊/金融緩和策の大失敗』/ダイヤモンド社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
この原稿を書いている12月23日の円相場は、対ドル89円
83銭~86銭になっています。これをもって私たちは、異常な
「円高」が続いていると考えますが、もともと100円~110
円というのは「円安バブル」であり、それがサブプライムショッ
クを契機に、それまで歪んでいた為替レートが正常な水準に戻り
つつあるプロセス――円安バブルのはじまりと考えるべきである
と野口悠紀雄氏はいうのです。
少し歴史を振り返ってみましょう。1971年のニクソンショ
ック、さらに1985年のプラザ合意――それ以降何かというと
大きく円高に振れてきており、1990年代の後半までは、日本
人の投資家は円高に過敏に反応したのです。
しかし、2000年代に入ると、円高に対してあまり騒がなく
なります。なぜかというと、円高になると、必ずといってよいほ
ど、当局が市場に介入して円安に戻すようになったからです。と
くに、2003年~2004年にかけては、大量のドル買い介入
を行い、強引に円安を維持したのです。
なかでも2003年1月~3月は、実に17営業日にわたり介
入を続け、その総額は2兆4000億円のドルを買い上げている
のです。さらに、同年4月~6月の介入額は、再び巨額のドル買
い介入を行い、その総額は1月~3月の倍に当たる4兆6000
億円を超えたのです。この2003年4月は、大手銀行の破綻を
示唆した竹中発言によって、日経平均株価が8000円を下回っ
たあの時期に当たるのです。ちょうどそのとき、こういう異常な
ドル買い介入が行われていたのです。
当時米国はITバブルの崩壊と、9.11 のテロ以降、デフレ
の兆しが出ており、海外からの資本の流入が激減している苦しい
時期だったのです。ところで、当局は2003年5月8日、円相
場が1ドル120円~115円に向かうところで大量の介入をし
ているのですが、これにはわけがあるのです。
この5月8日は、米財務省が四半期に一度ずつ実施している米
国債の定例入札の当日だったのです。これについて、榊原英資氏
は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
入札の直後からドル安が進み、債券が投げ売りされるようなこ
とになれば、米国の長期金利は急上昇しかねない。デフレを懸
念するFRBが短期金利を低めに誘導しても、長期金利が上昇
したのでは逆効果である。海外からの資本流入に頼る米国のア
キレス腱はここにあった。その矛盾を埋めたのが日本による介
入資金だったのだ。円売り・ドル買い介入の役目は円高の防止
にだけあるのではない。介入の結果、積み上がった日本の外貨
準備は、米政府証券の購入に充てられていたのである。
――榊原英資著、『強い円は日本の国益』/東洋経済新報社
――――――――――――――――[円高・内需拡大策/37]
≪画像および関連情報≫
●トヨタ自動車はなぜ営業赤字に転落したか
―――――――――――――――――――――――――――
トヨタが初の営業赤字に転落した最大の要因は、金融危機に
伴う世界市場の急激な冷え込みにある。欧米や日本のみなら
ず、好調だった中国など新興国でも販売台数の伸びは減速に
転じ「すべての国、地域で日を追って変わっていて底が見え
ない」(渡辺社長)状態。「トヨタ・ショック」と呼ばれた
11月6日の販売見通し下方修正から1カ月半で、昨年1年
間の富士重工業の販売台数を上回る70万台が消えた計算に
なる。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20081223ddm003020073000c.html
―――――――――――――――――――――――――――
●図の出典/「為替レートと株価の連動」
野口悠紀雄著/『円安バブル崩壊/金融緩和策の大失敗』/
ダイヤモンド社刊
作者:平野 浩
更新日:2008年12月26日 4時20分
●「投資銀行消滅が米国民にもたらすもの」(EJ第2478号)
夕刊「フジ」に「風雲永田町」というコラムがあります。政治
評論家鈴木棟一氏の人気コラムです。2008年12月23日付
(22日の夕刊)に「ゼロ金利、日米で正反対」というテーマの
コラムが掲載されたのです。内容が今回のテーマとも関係がある
ので、ご紹介することにします。
今回の金融危機に対応して米FRBはゼロ金利政策をはじめま
したが、日本人の多くは、むかし日本がやったことをFRBでも
やっている――そういう反応です。しかし、これは日米で事情が
ぜんぜん違うというのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
クレジット・カードの機能が全く違う。10万円の服を買った
ら、日本では翌月か翌々月に口座から自動引き落としされる。
しかし米国では自動引き落としが圧倒的にない。預金者が銀行
を信用しないから自動引き落としを認めない。支払いは自分で
確認して、自らの個人小切手を送る。
――12月23日付「夕刊フジ」/「風雲永田町」より
―――――――――――――――――――――――――――――
つまり、こういうことです。クレジットカード会社の信用でも
のを買い、個人小切手で支払うという構図です。銀行では仕事さ
えもっていれば、クレジットカードを発行してくれるし、各種ロ
ーン――住宅ローンも含めて――も受けられるのです。
米国では、高校生からほとんど例外なく全員が小切手帳を持っ
ているそうです。小切手で決済するのは米国における普通の決済
方法なのです。
しかし、自動引き落としではなく、小切手で決済してもいいで
はないかと考えますが、買い物金額の全額を支払うのではなく、
ミニマムしか支払わないことが慣例化しているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
10万円の買い物なら支払いは5000円ぐらいでいい。これ
が慣例化している。米国人は常にこの種の借金がある。(一部
略)年収の3倍は借金がある感覚だ。それが米国の消費を支え
てきた。 ――「夕刊フジ」/「風雲永田町」より
―――――――――――――――――――――――――――――
そうであるとすると、FRBがゼロ金利政策をとったことの意
味は日米で大きく異なってきます。問題は、ゼロ金利で誰がトク
をし、誰がソンをするかです。
米国ではクレジットカードを持っている米国民が助かる――し
たがって、これは徳政令なのです。つまり、FRBは何とかして
米国民の消費マインドを冷やさないようにして国民の負担軽減を
狙ったのです。といっても無理であると思いますが・・・。
しかし、日本の場合はどうでしょうか。
日本には国民の金融資産が1500兆円もある貯金国家です。
したがって、ゼロ金利政策をやられると、預金金利はゼロに近く
なり、国民は多大の損失を受けるのです。一方でトクするのは銀
行であり、それは銀行に対する徳政令となるのです。これはまさ
に暴挙そのもの――そのように鈴木棟一氏はいうのです。
もし、日本のような状況のもとでゼロ金利政策をやったら、米
国では間違いなく暴動が起こるでしょう。しかし、日本ではそう
いうことはまず起こらない。それはコトの本質がよくわかってい
ないからです。鈴木棟一氏はコラムの最後を次の言葉で結んでい
ます。
―――――――――――――――――――――――――――――
民主国家と大企業国家の差がはっきり見える
――「夕刊フジ」/「風雲永田町」より
―――――――――――――――――――――――――――――
さて、巨額の経常赤字を出しながらも、消費を落とすことなく
やってこれたのは、実は米国が投資銀行王国であったからなので
す。しかし、2008年9月の時点で事実上、米国のすべての投
資銀行(5行)が消滅してしまっています。
そうなると、それは米国へのマネーの流入を止め、家計は逼迫
し、米国民は今までのような生活をすることは困難になる可能性
があるのです。このように主張しているのは三菱UFJ証券チー
フエコノミストの水野和夫氏です。
2007年6月までは、米投資銀行は、外国人(出資者)から
毎月910億ドルの資金を集め、そのうち月間経費として615
億ドルを――米経常赤字額に相当――消費していたのです。この
金額は、3億人の米国人が高い生活水準を享受するために、日本
をはじめとする諸外国から、自動車や石油などの購入額――輸出
控除後のネットの輸入額――これに相当するのが経常赤字という
ことになるのです。
米投資銀行帝国(米国)は、外国人の出資額である910億ド
ルから経費である615億ドルを差し引いた295億ドルを対外
投資し、それから莫大な配当・利息収入をあげていたのです。
この対外投資から受け取る配当・利息から対外支払利息・配当
を差し引いたものが「投資収益収支」です。1998年以後、対
外純債務の増大テンポが加速していったにもかかわらず、投資収
益収支の黒字幅は拡大したのです。
1973年~1998年までの投資収益収支は、年平均219
億ドルの黒字であったものが、それ以後急増し、2008年1月
~6月(年率換算)では1211億ドルに達していたのです。つ
まり、対外負債コストの増加を相殺して余りある、対外投資から
得られる配当・利息の増大があったのです。
1999年以降、米国の対外純債務が対GDP比で悪化してい
くなかで、投資収益収支を黒字にさせる機能を担ったのが、5つ
の投資銀行だったのです。しかし、米国にとってこの貴重な投資
銀行がサププライムショックによって破綻してしまったのです。
投資銀行の破綻は、必然的に米家計に過剰債務の調整を迫るこ
とになります。外国から潤沢なマネーが流入してこなければ、月
間615億ドルもの経常赤字をを出すことなど、とても不可能で
あるからです。 ――[円高・内需拡大策/36]
≪画像および関連情報≫
●「経常収支」とは何か
―――――――――――――――――――――――――――
国際,つまり国境を越える外から内への受取の流れと,内か
ら外への支払いの流れの対照。国際収支を一定期間について
記録したものが国際収支表である。商品とサービスの輸出入
を経常取引といい,その経常勘定に記入する。経常収支は,
貿易収支,貿易外収支,移動収支の3つから成る。資本の取
引を資本取引といい,資本勘定に記録される。資本収支は短
期資本収支と長期資本収支とに分れる。経常収支と資本収支
の合計が総合収支で,この総合収支のギャップを均衡させる
役割を果すものとして金融勘定がある。
―――――――――――――――――――――――――――
●図の出典/「週刊エコノミスト」2008.12.2日号
作者:平野 浩
更新日:2008年12月25日 4時28分
●「CP買い切りの背景を探る」(EJ第2477号)
「CPの買い切り」について白川日銀総裁は、次のように述べ
ています。
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異例中の異例。経済、金融が厳しいがゆえの措置だ。財務の健
全性や通貨の信認を確保するために十分配慮しなければならな
いが、今の経済にどう貢献できるか真剣に考えた結果である。
――白川日銀総裁
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今まで日銀がCPを買い入れるときは、金融機関を通じて「売
り戻し条件付き」で買い入れていたのです。しかし、このような
CPの買い入れ方式では、もし、CPを買い入れた企業が倒産し
てしまうと、金融機関は損をかぶってしまうので、CPを引き受
けなくなるのです。事実、金融危機で市場ではCPの買い手が減
り、十分発行できない状況が続いているのです。
しかし、今回、白川日銀総裁は「日銀は売り戻し条件を付けず
に買い切る」と言明したのです。日銀が売り戻し条件を付けずに
買い切れば、金融機関は回収不能を心配せずにCPを購入でき、
企業に資金が行き渡ることが期待されるのです。そしてその分だ
け銀行は資金を中小企業向けの融資に回せる――このように日銀
は考えたものと思われます。これは結果として日銀が企業に対し
てダイレクトに資金を供給したことと同じ効果になるのです。こ
れが「CPの買い切り」です。
CPの買い切りについては、米FRBのバーナンキ議長が先に
表明しており、何となく日銀の発表は米国の後追いのような感じ
が否めないのですが、実際はどうなのでしょうか。
日銀の政策は、政策委員会・金融政策決定会合が担っており、
政府などの干渉を一切受けない独自のもののはずです。しかし、
今回の日銀の決定の裏側を探ってみると、そこに与謝野経済財政
担当相の影が見え隠れするのです。毎日. JPの次の記事を見て
いただきたいと思います。
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中川昭一財務・金融担当相は16日の閣議後会見で「日銀の独
立性は承知している」としつつも「(景気悪化を)回避するの
も日銀の重要な責務」と強調。「経済状況や流動性の問題で、
あるべき結論を出していただけると期待している」と、日銀の
一段の金融面での対応を促した。与謝野馨経済財政担当相も同
日の会見で、麻生太郎首相が12日の「生活防衛のための緊急
対策」の発表時に日銀の流動性供給策強化への期待感を示した
ことをあげて、「政府が節度を保ちながら、中央銀行に一定の
メッセージを送ったもの」と指摘。企業が短期の資金調達のた
めに発行するコマーシャルペーパー(CP)を買い取る措置な
ど日銀が一段の景気安定化策に踏み切ることに期待を示した。
――毎日. JP(毎日新聞)より
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政府は、与謝野経財相が中心となり、CPについては、日本政
策投資銀行による買い取り策を打ち出しており、日銀に同調を促
していたのです。そのさい、FRBも同様のことをやるとの情報
が入っていると日銀に伝えているのです。
しかし、日銀内部では、CP買い切りには企業の破綻リスクを
負うことになるので、頑強な反対意見があったようですが、百年
に一度の危機であること、それにFRBが先行したことによって
日銀は苦渋の決断をしたものと思われます。
心配なのは、企業倒産が相次ぎ日銀が損失を被ることです。な
ぜなら、国内で唯一紙幣を印刷できる日銀の財務内容が悪くなれ
ば、紙幣の信用を損なう恐れがあるからです。
歴史を振り返っても、主要国の中央銀行で民間企業の信用リス
クを抱え込んだのは、2003年に企業の資産担保コマーシャル
ペーパー(ABCP)などの買い切りに踏み切った日銀と、今回
の金融危機で大量の民間資産の買い取りをはじめた米FRBの2
つだけなのです。まさに、これは中央銀行の禁じ手なのです。
12月21日の「サンデープロジェクト」に与謝野経財相が出
演して、今回の日銀の利下げと量的緩和策について面白いことを
いっています。
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日銀はかつては貴公子だったけれど、これらは野武士のように
やって行くということのあらわれである。 ――与謝野経財相
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さて、現在時点の主要国の「政策金利」は次のようになってい
ます。「政策金利」というのは、中央銀行がコントロールできる
唯一の金利で、市場の金利を実体経済に合った水準に誘導するた
めに決める基準金利のことです。
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日本 ・・・・・・・ 0.1 %
米国 ・・・・・・・ 0~0.25 %
ユーロ圏 ・・・・・ 2.5 %
英国 ・・・・・・・ 2.0 %
スイス ・・・・・・ 0~1.0 %
オーストラリア ・・ 4.25 %
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0.1 %の政策金利では、追加利下げの余地はもうほとんどな
いのです。それにゼロ金利だけでは景気刺激効果としてはほとん
どないことを当の白川日銀総裁も認めているのです。
そうなると、残るのは量的緩和策のみですが、それも今までや
ったようなやり方では機能しないので、今回発表しているような
リスクの多いCPの買い切りのようなことを思い切ってやる必要
が出てきているのです。
FRBは、CPの買い切りのほか長期国債、住宅ローン債権な
どの買い切りも行い、資産取引を通じて流動性供給を行う手段が
あるとしています。日銀もFRBと同じ道を歩まざるを得ないで
しょう。 ――[円高・内需拡大策/35]
≪画像および関連情報≫
●「公定歩合」と「政策金利」の違い/日本銀行HPより
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日本銀行が金融機関に直接資金を貸し出す時の基準金利のこ
とを「公定歩合」と言います。「公定歩合」は、規制金利時
代には、預金金利などの各種の金利が「公定歩合」に直接的
に連動していたため、金融政策の基本的なスタンスを示す代
表的な政策金利でした。しかし、1994年に金利自由化が
完了し、「公定歩合」と預金金利との直接的な連動性はなく
なりました。現在は、こうした連動関係に代わって各種の金
利は金融市場における裁定行動によって決まっており、「公
定歩合」は、2001年に導入された補完貸付制度の適用金
利として、日本銀行の金融市場調節における操作目標である
無担保コールレート(オーバーナイト物)の上限を画する役
割を担うようになっています。現在の日本銀行の政策金利は
無担保コールレート(オーバーナイト物)であり、「公定歩
合」には政策金利としての意味合いはありません。
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作者:平野 浩
更新日:2008年12月24日 4時17分
●「世界はゼロ金利ラッシュである」(EJ第2476号)
世界同時不況が一段と深刻の度を増しています。米国がゼロ金
利を即断し、量的緩和にも乗り出すことを表明しています。バー
ナンキFRB議長といえば、かつてゼロ金利をとっている日銀を
馬鹿にして、次のようにいっていたのです。
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・日銀の審議員のなかで耳を傾けるのに値するのはたった一人
だけで、他はひどいものだ。
・日銀はトマトケチャップでも買え!――そうすれば、景気は
良くなる。 ――バーナンキFRB議長
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そのバーナンキFRB議長がゼロ金利と量的緩和に踏み切った
のですから、米国の現況がいかに厳しいものであるかが理解でき
ると思います。バーナンキ議長は、米連邦公開市場委員会――F
OMCにおいて、「全手段を動員する」と明言したのです。
ゼロ金利政策と量的緩和政策は、既に日本が2001年から5
年間にわたって行っているので、日本が経験を持っていますが、
その効果については賛否両論があります。
当時の速水優日銀総裁は、1999年2月からゼロ金利政策を
行い、2000年8月に解除しています。しかし、米国のITバ
ブルが崩壊し、国内景気が悪化したことによって、2001年3
月から、世界に前例のない量的緩和政策を導入したのです。
この当時の日銀が実施した量的緩和政策について、2008年
12月18日付の日本経済新聞は次のように書いています。
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(日銀の実施した量的緩和政策の)最大の特徴は、金融政策の
運営目標を従来の金利から「資金量」に転換した点にある。民
間銀行が決済のため日銀に開設している「当座預金口座」につ
いて残高目標を設け、目標額に達するまでお金を大量供給し続
ける。お金は、銀行がもつ国債などを日銀が買い取る形で供給
した。量的緩和の開始時に5兆円だった残高目標は段階的に引
き上げられ、最大35兆円となった。当座預金口座には金利が
付かないので、銀行は利益を生まない大量の資金を手にしたこ
とになる。――2008年12月18日付、日本経済新聞より
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日銀の当座預金というのは、民間金融機関が日銀内に開設して
いる預金口座のことです。この口座は、日銀と民間金融機関の取
引で使われるのです。
もちろん日銀は無担保では民間銀行に資金を供給できないので
銀行の持つ国債などを買い取って、当座預金残高を積み上げたの
です。この資金には利息は付かないので、銀行はそのジャブジャ
ブある資金を企業に貸し出すはずという狙いがあったのです。
しかし、企業の貸し出しは一向に増えなかったのです。なぜで
しょうか。
それは日本がバランスシート不況に陥っていたからである――
そのため企業からの資金需要はなかったのです。このように、リ
チャード・クー氏がその原因を解明していることは既に述べた通
りですが、このリチャード・クー氏の理論を積極的に受け入れる
経済の専門家は少ないようです。
それでは、民間銀行はどうしたのでしょうか。民間銀行はその
お金でわずかでも利息の付く国債を中心に運用したのです。もと
もと銀行の保有する国債を日銀が買い上げて、積み上げられた資
金で再び国債を買う――実に変な話です。
バーナンキFRB議長は日本のケースもよく調べており、今回
の量的緩和政策については、銀行経由ではなく、直接市場へ資金
を供給することを表明しています。具体的には、企業が発行する
コマーシャル・ペーパー(CP)をFRBが買い切ることです。
正確にはこれを「CPの買い切り」というのですが、その意味に
ついては24日のEJで説明します。
ところで、CPとは何でしょうか。
CPとは、ある程度の信用力を有する大企業がオープン市場か
ら短期資金を調達するために発行する無担保の割引約束手形のこ
とです。確かにこれをやれば、資金繰り難に陥っている優良企業
には、FRBが直接資金を供給することができます。
さらにFRBでは、CPだけでなく、FRBが市場から買い取
れる資産の対象を拡大し、量についても増やすといっているので
す。なにしろバーナンキ議長は「全手段を動員する」と明言して
いるので、やれることは何でもやると思います。
しかし、この「CPの買い切り」について、欧州中央銀行――
ECBは、定款上問題があるとして難色を示しています。それで
は、公的資金による銀行の不良債権の買い取りはどうかというと
財布を握る各国間で調整がつかない状態です。それでは最後の手
段としての財政出動についてはドイツが反対を表明していて、何
もできない状態であるといわれています。
それでは、その間日本は何をしていたのでしょうか。
金融関係者がその必要性を説く「CPの買い切り」について日
銀関係者は、次のようにいっていたのです。
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米欧に比べると、日本の銀行は健全である
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しかし、信用逼迫の波は大きく日本を襲ってきたのです。そし
て、ゼロ金利や量的緩和に回帰すべきかどうか、あれこれ検討し
ているうちにスイスやFRBに先行されてしまったのです。
12月11日にスイス国立銀行は、「世界経済は激しく悪化し
ている。スイスも来年はマイナス成長になる」として事実上のゼ
ロ金利で先陣を切っています。これに追随したのは米FRB――
16日のことです。
そして19日、日銀は0.3 %の金利を0.1 %に下げ、CP
の買い切りについても実施すると発表しています。これは日本に
とって異例の措置といえます。しかし、米国の動きをみて追随し
たと考えざるを得ないのです。――[円高・内需拡大策/34]
≪画像および関連情報≫
●CPとは何か
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コマーシャルペーパー/CPとは、企業が資金調達を行うた
めに発行される短期の約束手形。コマーシャルペーパーは、
「CP」という略称で呼ばれることが多い。無担保の割引方
式(金利分を額面から割り引いて販売する形)で発行される
短期の約束手形であり、発行体は優良企業に限られる。また
金融機関、証券会社などが発行を引き受け、販売先は機関投
資家に限定される。 ――オール・アバウト「マネー」
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作者:平野 浩
更新日:2008年12月22日 4時19分
●「日本郵政は米国に出資せよ/竹中発言」(EJ第2475号)
小泉・竹中政権がなぜあれほど「郵政民営化」にこだわったの
でしょうか。小泉元首相の昔からの政治目標であったとよくいわ
れていますが、本当にそうでしょうか。
最近になって、その理由が少しずつ見えてきた感があります。
それは、2008年4月21日に、竹中平蔵氏の、あるテレビ番
組での発言がキッカケとなったのです。ただ、その番組がBS朝
日の番組だったので、一般にはあまり伝わっておらず、もっぱら
ネットの世界で話題騒然になったのです。
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- BS朝日/経済誌ダイヤモンド(電子版)-
『民営化された日本郵政はアメリカに出資せよ』
――竹中平蔵氏
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単行本では、副島隆彦氏がこの発言を取り上げています。少し
長いですが、副島氏の本から引用します。竹中氏は、米国はサプ
プライム問題で今回打撃を受けたが、米国経済は長期的には強い
成長力を持っている。リセッションになるかも知れないが、あま
り心配していないといって次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
私は実は、日本のほうを心配しています。サブプライムの影響
そのものは大きくない(引用者/副島氏註・どこが大きくない
のだ)が、円高を通して輸出産業が影響を受ける。一方で改革
が進まず内需が弱い。日本をよくすることは、サブプライムと
は別に考えていく必要があります。そこで今回、「民営化され
た日本郵政はアメリカに出資せよ」とぜひ申し上げたい。さき
ほどキャピタル・クランチの話をしましたが、アメリカではこ
こ半年くらい、俄然一つの問題が浮かび上がっているんです。
アメリカの金融機関が資本を受け入れるときに、誰が出するか
ということです。そこで、最近のキーワード、ソブリン・ウエ
ルス・ファンド(SWF)があります。政府系ファンド、つま
り、国が持っている基金です。アメリカの金融機関がSWFか
らお金を受け入れるケースが増えていますが、一方で、他国政
府から資金を受け入れてもよいのかという問題がある。ある国
が政治的な意図をもってアメリカの金融機関を乗っ取ってしま
ったら、アメリカ経済が影響を受けるのではという懸念も出て
きています。翻って考えると、日本にはかつてとんでもなく巨
大なSWFがありました。それが今の日本郵政なんです。資金
量でいうと300兆円。他のSWFとは比べ物にならないほど
のSWFがあったんです。民営化したので、今はSWFではな
い。だからアメリカから見ると安心して受け入れられる、民間
の資金なんです。アメリカに対しても貢献できるし、同時に日
本郵政から見てもアメリカの金融機関に出資することで、いろ
いろなノウハウを蓄積し、新たなビジネスへの基礎もできる。
――ダイヤモンドオンライン
――副島隆彦著『恐慌前夜/アメリカと心中する日本経済む』
祥伝社刊
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竹中氏は、この番組でタレントの上田晋也と対談をしているの
ですが、サブプライム問題は次の3つの段階を経て、拡大をして
きているといっています。これはよく整理された説明であると思
うので、ご紹介しておきます。
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1.不動産市場の中の問題
2.クレジット・クランチ――信用不安
3.キャピタル・クランチ――資本不安
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第1の段階は、2007年2月頃のことで、住宅ローンが危な
いという話が出て、住宅ローンが簡単には付けられなくなったの
です。そうすると、不動産投資ができなくなる――したがって、
この段階は不動産市場の問題なのです。
第2の段階は、2007年の夏頃のことですが、住宅ローンだ
けでなく、いろいろな金融商品に不安が広がって、金融機関が資
金不足に陥ったのです。これは「クレジット・クランチ」であっ
て、いろいろな措置が取られたのですが、十分ではなかったとい
えると思います。
第2の段階は、現在の段階です。金融機関が不良債権を抱えて
損を出し、資本金が足りなくなります。つまり、自己資本が毀損
するわけです。これは「キャピタル・クランチ」です。現在、米
国は、キャピタル・クランチを起こさないよういろいな手を模索
しているのです。
しかし、米国にはもはやお金がないのです。中東の産油国、中
国もお金を持っていますが、200兆円近いお金をポンと貸せる
ほど力はないのです。
しかし、日本郵政がある――と竹中氏はいうのです。郵政公社
のときは、米国にお金は貸せませんが、民営化された日本郵政な
らば、貸すことはできるというのです。
これに対して、副島隆彦氏は、次のように怒りを表明している
のです。
―――――――――――――――――――――――――――――
盗人たけだけしい、とはこのことだろう。竹中平蔵は大臣の権
力を使って金融庁を手下に時価会計基準を振り回して日本の銀
行や大企業(りそな、UFJ、ダイエー、ミサワホームなど)
を叩き潰したり外資に乗っ取らせた張本人だ。(中略)竹中元
大臣はアメリカの後ろ盾があるものだから、公職を離れたあと
も未だにこんなにも居丈高である。郵貯・簡保の資金300兆
円を、この期におよんでまだアメリカに貢げ、と言っている。
盗人に追い銭を与えよというのだ。 ――副島隆彦著
『恐慌前夜』/祥伝社刊
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――[円高・内需拡大策/33]
≪画像および関連情報≫
●SWFとは何か
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ソブリン・ウエルス・ファンドは政府が出資する投資ファン
ド、政府系ファンドともいう。石油や天然ガスによる収入、
外貨準備高を原資とすることが多い。近年、世界的な資源価
格急騰により資源供給国の割合が増えつつある。各国のSW
Fは資源による収入が多く、資源を持たない国の場合は外貨
準備や年金を運用しており、日本の場合後者にあたる。いわ
ば元手は借金で運用に伴うリスクは国民にあるという構図が
成り立つので、日本の財務省は基本的に反対の立場をとって
いる。 ――ウィキペディア
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作者:平野 浩
更新日:2008年12月19日 4時20分
●「小泉政権は何をやったのか」(EJ第2474号)
ここで小泉・竹中政権が、いわゆる「構造改革」と称して、強
行したことは、次の4つです。これらがいかに日本を駄目にした
か、計り知れないものがあります。
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1.財政面では、緊縮財政政策の実施によって、財政赤字削減
を実現しようとしたこと
2.金融面では、不良債権の加速処理で、「銀行等」の貸し出
しを増やそうとしたこと
3.国家のビジョンを明確にしないで、安易に「規制緩和」や
「民営化」を行ったこと
4.道路公団と郵政公社を民営化し、いかにも「改革」である
ように宣伝していること
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デフレが進行しているときに緊縮財政を取る――そうすればデ
フレは一層深刻化し、財政赤字の拡大と政府債務の増加を引き起
こすことは、歴史的にも明らかなことです。
1930年代においてフーバー米大統領は、デフレの下で緊縮
財政政策を取って大恐慌を引き起こしていますが、そのフーバー
大統領と小泉元首相は何も変わらないと思います。米国では、フ
ーバー大統領のことを「ザ・ワースト・プレジデント」と呼んで
いますが、小泉氏も後世同じように呼ばれるものと思われます。
次の歴史の名言がありまいす。
―――――――――――――――――――――――――――――
愚者は「経験」に学び、賢者は「歴史」に学ぶ
―――――――――――――――――――――――――――――
「歴史」から学べない人――つまり、他人の経験から学べない人
は「愚者」なのです。よく歴史を引き合いに出す小泉元首相も肝
心のことはわかっていなかったということになります。
小泉元首相は、慶応義塾大学の経済学部に学びながら、「自分
は経済のことはわからない」という人です。まさにその通り、国
の財政赤字の巨大さにのみ目を奪われ、経済の状況を考慮するこ
となく、緊縮財政政策を取ったものと思われます。おそらくこれ
は小泉氏自身の考え方であり、周りのイエスマンはそれに逆らわ
なかったものと思われます。
このデフレ下の緊縮財政政策の強行が、金融機関の不良債権を
増加させ、「不良債権の処理」をしなければならない状況がつく
りあげられたということができます。不良債権の処理の矛盾つい
ては、既に述べた通りです。
それから規制緩和――これは「規制を緩和すればすべて良くな
る」という考え方のもとで、小泉政権下で行われてきているよう
に思われます。「規制は悪で規制緩和は善」という考え方です。
しかし、そもそも「規制緩和」とは何でしょうか。
そもそもさまざまな社会活動に規制をかけるのは、平均的な事
象というかレベルからの逸脱を防ぐという点にあるのです。もし
規制をかけないと物事が乱れるというのであれば、そういう規制
は必要であり、緩和すべきではないのです。
しかし、平均レベルよりも大きく伸びようとするときにブレー
キになるような規制は、緩和するか撤廃すべき規制ということに
なります。あること――産業や技術などを大きく伸長させるとい
う国家計画があれば、当然それに関わる規制は抜本的に緩和する
か廃止すべきです。
規制緩和はそういう国家ビジョンというか国家計画に基づいて
政府が個別に判断して行うべきですが、小泉政権ではそういう明
確な国家ビジョンなしに、個別の考慮もなく規制緩和が行われて
いるのです。その結果が、現在の社会的風潮を生んだのです。
小泉政権の規制緩和に象徴されるのは、ライブドア事件や村上
ファンドのような詐欺的犯罪行為です。そういうものを正当化す
る社会的風潮ができてしまったからです。
雇用情勢の不安定化から食品偽装や振り込め詐欺まで、まさに
現在の日本はモラルが崩壊してしまっています。こういう社会的
風潮を形成した原因の一端がビジョンなき規制緩和にもあると思
うのです。
「鳥有亭日乗」というサイトでは、「規制緩和の功罪」につい
て的確な意見が述べられています。規制には「抑圧」と「支持」
の2つの側面があるとし、規制緩和を善とするためには次のこと
が必要であるとしています。
―――――――――――――――――――――――――――――
規制緩和を社会的善とするためには、成長に対して抑圧となる
規制は撤廃し、頽落に対して支持となる規制は維持または強化
することによって方向付けをすることが重要となる。この方向
付けこそが将来に対する賭であり、大きな政治的選択である。
奨励する必要がなくなることにより軽減される負担と規制緩和
によって得られる成果の総和が、規制がなくなることにより節
減できる費用と発生する損失の総和を上回る未来を手にするこ
とができなければ、結果として将来は暗澹たるものになるであ
ろう。 ――「鳥有亭日乗」のサイトより
―――――――――――――――――――――――――――――
規制緩和を主張する人は、それによるバラ色の未来を語るが、
バラ色の未来だけでなく、それがもたらす可能性のある悪につい
ても述べる必要があるのです。それを「改革」という名の大義名
分のもとに強行し、現在の状況になっているのです。
そして、何よりも重要なのは「郵政公社の民営化」です。小泉
元首相はすべてをかけたといってよい郵政民営化――その前途は
きわめて不透明です。昨日のEJで、このまま郵政の民営化に対
して何の手だても講じなければ、日本は世界最大の債権国である
のに、国内では長期金利も短期金利も上昇し、たちの悪い不況が
定着する――このように述べましたが、とくに長期金利が上がる
というのはとても気がかりなことです。この点についてはこの後
検討していきたいと考えています。
――[円高・内需拡大策/32]
≪画像および関連情報≫
●「規制緩和」とは何か
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規制緩和とは、経済学や公共政策などの文脈で、ある産業や
事業に対する政府の規制を縮小することを指す。市場主導型
の産業のあり方が望ましいと考えられる際にとられる基本的
な政策手段のひとつで、市場競争を促進し経済活性化を果た
すために採用されるが、導入による弊害の解決のため、セー
フティーネットなどの構築が必要とされている。近年では単
なる規制の撤廃・縮小だけではなく、全体的な制度改革を実
行するとの意味合いから規制改革とも呼ばれる。
――ウィキペディア
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